
大阪大学大阪大学接合科学研究所 竹本正
D−2(Advanced Brazing)では9論文が発表された。
超合金については2件の発表があり、Ni基超合金の液相拡散ろう付における共晶反応の温度と保持時間の影響の速度論的解析および結晶成長が検討され、Ni基単結晶の等温凝固の活性化エネルギーは多結晶のそれよりも大きいこと、凝固はエピタキシャル成長によることなどが示された。Co基超合金の補修を検討するために人工欠陥部の液相拡散ろう村を行い継手強度からインサート材の組成(低融点ろうと母材との混合比)が検討され、適切な接合条件を選べば継手強度は母材並となり、低サイクル疲労では継手は欠陥のある試験片と母材の中間の特性を示すことなどが示された。
セラミックについては3件の発表が有り、単結晶ダイアモンドのろう付においてTi含有Ag−Cuろうを用いて一方向凝固特性を付与して組織解析を試みたもの、ルビー(A1203)をAg−Cu−Tiろうでろう付した時の接合界面組織、反応層形成の速度論とその形成機構の検討、SiCを各種組成のCu−Sn−Tiろうによりろう付し、継手強度、反応層形成、界面組織を検討したものなどであった。
アルミニウムのろう付では今日大幅に実用化されている非腐食性フラックスならびに真空ろう付に関して実用化への指針となる基礎研究が発表された。非腐食性フラックスろう付ではそのろう付加熱時の熱分解挙動、Mg含有合金とのろう行性ならびにフラックスとMg含有母材との化学反応とその生成物および形成機構についての発表がなされ、分解生成物の質量分析計による同定、反応生成物のX線解析および組成分析などがなされた。
一方、アルミニウムの真空ろう付は実用化されて久しいが、ろうに添加されるMgの蒸発挙動とゲッター作用の関係は十分明らかになっているとはいえない。そこで、Mg蒸気をろう付炉内に供給する温度ならびに供給量とろう行性の関係が検討され、Mgの供給は比較的高温において行うのがよく、特に、真空度が低い場合に、Mgを低温から供給すると表面にMgO象化物を形成してろう行性を疎外することが明らかとなった。
その他、銀ろう付した鉄系母材界面とろうの組織に及ぼす超音波印加の効果の検討例、赤外線温度測定をモーターの自動ろう付への適用を検討した結果などが発表された。
セッションL−1およびL−2
レーザプロセッシング I, II
大阪大学接合科学研究所 松縄朗
本セッションは19日の午前および午後開催され、17件の論文が発表された。テクニカルセッションの中では最も発表件数が多く(米:2件、独:2件、英:2件、オランダ:1件、デンマーク:1件、日:9件)、レーザ加工に対する関心の高さが窺われた。午前中のセッション(L−1)では、イリノイ大学(現ミシガン大学)のMazumder教授による招待講演「レーザ溶接プロセスのモデリングとモニタリング」があり、数学的モデルの構築とプロセスモニタリング技術開発の重要性が強調された。次いで行われた一般講演は、キーホール挙動の観察とモデリング、およびレーザ誘起プラズマの計測など学術的に極めてレベルの高い研究内容が紹介された。
午後のセッション(L−2)では、TWIのRussel氏の招待講演「構造用鋼材の炭酸ガスレーザー溶接技術の開発」があり、より実用的な面からの問題点と解消策が述べられ、TWIの技術開発力の高さが実感できる内容であった。一般講演では、超高出力レーザ(50k
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